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米国中間選挙を長期的な視点で捉える

注目が高まる米国中間選挙について、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのクライアント・ポートフォリオ・マネジメント部門グローバル・ヘッドであるSeth Meyerが解説します。企業の資本配分は、複数の選挙サイクルにわたって成果が表れる長期的な意思決定です。そのため投資家にとって重要なのは、個々の選挙結果よりも、長期にわたる資本形成と利益成長を支える政策の枠組みだと考えます。

2026年10月27日
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主なポイント:

  • 米国では、大統領の所属政党と議会の多数派が異なる「ねじれ」状態に戻る可能性が高く、短期的には政治の膠着が生じることも考えられます。ただし、こうした状況が必ずしも金融市場に不利に働くとは限りません。より注目すべきなのは、AIが今後10年以上にわたって経済と企業利益の成長ペースを引き上げる可能性だと考えます。
  • 生活費の負担は、多くの有権者にとって大きな関心事になっています。政治の「ねじれ」が物価に直接影響を及ぼすとは限りませんが、根強いインフレはすでに金融政策の転換を促しており、FRBは利上げ局面に入っています。
  • AIは生産性と企業利益を押し上げる可能性があります。一方、世界経済は長期にわたる脱グローバル化の局面に入ったと考えます。これによりインフレ圧力が強まり、市場のボラティリティが高まるほか、地政学的・経済的な混乱が繰り返し生じる可能性があります。

市場ではすでに多くのテーマが投資家の関心を集めています。そこに、11月3日に実施される米国中間選挙が加わろうとしています。争点が多いうえに、選挙報道も連日続いています。このため、中間選挙が金融市場の転換点になり得ると考える投資家がいることにも一定の理由があります。

選挙が経済や市場に影響を及ぼすことは確かです。ただし、投資成果を左右する最も重要な要素は、長期にわたる複利リターンだと私たちは考えます。この考え方の前提には、リターンを生む構造的な要因が複数の選挙サイクルにまたがって作用するとの見方があります。個々の選挙で注目される争点よりも重要なのは、経済がどのように機能し、資本形成を促し、需要に応え、利益を生み出すかを規定する政策の枠組みです。

選挙戦での主張がどれほど過熱しても、こうした枠組みは通常、段階的にしか変わりません。米国やこれと同様の統治体制を持つ国々が投資資金を引き付けやすい理由の一つは、この点にあります。

長期的な利益成長に目を向ける

株式市場では、長期的に株価は企業業績に連動すると言われています。現在、ハイパースケーラー(大規模なクラウドサービス事業者)は人工知能(AI)インフラに過去に例のない規模の投資を行っています。こうした投資は、今後10年、さらにはそれ以上の期間にわたる利益成長を目指したものです。このような長期の資本配分を決める際、経営陣はマクロ経済の循環や規制環境の変化を考慮に入れます。同様に投資家も、個別証券のリスクプレミアムを判断する際に、これらの変化を織り込んでいます。

現時点では、AIインフラの整備が実際の利用拡大に先行していますが、企業や各国政府はAIの導入を戦略的な優先事項と位置付けています。こうした状況から、ハイパースケーラーの利益成長は、2020年代末にかけて企業利益全体を押し上げる大きな要因であり続けると見ています。すでにAIを導入した企業では生産性の向上が見られ始めており、AIが企業利益に及ぼす効果にも、企業間で差が表れ始めています。

こうした中、データセンター建設への反発がいくつかの州や地方の選挙で争点となっています。この動きは、建設の「時期」「場所」「コスト」に影響する可能性がありますが、建設のペースが大きく鈍ることはないと考えます。

物価上昇への強い警戒感

もう一つの大きな争点は、多くの地域に共通する生活費の負担感です。その主な要因はエネルギーコストです。エネルギー価格の高騰は地政学的な動向と密接に結び付いています。ただし、物価高への不満が投票結果に表れたとしても、政策が大きく変わるとは限りません。米国の制度では、外交政策の遂行に関して行政府が強い権限を持つためです。

エネルギー価格の高騰はいずれ落ち着くという市場のコンセンサスに、私たちもおおむね同意しています。ただし、エネルギー価格の高騰がどの程度長引き、コア物価にどこまで波及するかは不透明です。さらにAIは、いずれ物価を押し下げる効果が期待される一方、当面は物価を押し上げる可能性があります。こうした点は、多くの有権者にとって大きな関心事になると見ています。

物価はすでに金融政策に影響を与えています。インフレ率が目標を上回る状態が続いていることを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に2023年以来となる利上げを実施しました。政策金利を通じて資本コストに働きかけることは重要な政策手段ですが、その判断は米国の選挙日程にほとんど左右されません。市場では、2027年半ばまでに最大3回の追加利上げが行われる可能性も意識されています。これによりFRBは物価の安定という目標の達成に近づく可能性があります。一方で、金利の上昇を受けて、企業も家計も大型の支出だけでなく、場合によっては小口の支出も見直すことになると見込まれます。それでもFRBに利上げの余地があるのは、米国経済が非常に底堅いためです。

「ねじれ」は歓迎すべきか

一般に中間選挙は、政権与党に不利な結果となる傾向があります。現在、共和党は政権を握り、上下両院でも多数派を占めているため、厳しい選挙になると予想されます。民主党が上院で多数派となる可能性は低いと見られますが、下院で過半数を獲得すれば、大統領の所属政党と下院の多数派が異なる「ねじれ」状態に戻ります。図表1のとおり、過去50年間の約65%がこの状態でした。

図表1:政権と議会の政党構成別に見た過去50年のS&P 500®指数のリターン

大統領・下院・上院の政党構成

期間

プライスリターン(年率) ボラティリティ(年率)

前日比で上昇した日の割合

ねじれ(政権と議会で多数派が異なる)  32.0年

9.24%

18.50%

53.20%
同一政党が政権と上下両院を握る  18.0年

8.73%

15.35%

53.60%

出所:ジャナス・ヘンダーソン、ブルームバーグ 2026年10月23日までの50年間のデータ

米国経済が成長を続けたこの期間において、株式のリターンは、同一政党が政権と議会を握る場合とねじれの場合とで同程度で、差は0.5ポイント強でした。ねじれの期間はボラティリティが高く、政策の不確実性が影響した可能性があります。一方で、ねじれによって、一つの政党が掲げる大幅な政策変更の実現が抑えられ、有権者や経済への影響が限定された面もあると考えられます。つまり、政治の膠着状態は市場にとって必ずしも悪いことではないと言えます。

AIの普及と脱グローバル化に備える

今回に限らず、どの選挙サイクルでも投資家はこうした長期的な視点を保つべきだと考えます。AIは、米国の経済成長と企業利益の伸びを一段高い水準に押し上げる可能性があります。また、中東紛争によるエネルギー価格の高騰はいずれ落ち着くと見ています。ただし、中東情勢を背景とするエネルギー価格の上昇も、脱グローバル化が進む中で生じている現象の一つと考えられます。

AIの普及と脱グローバル化の進行は、いずれもインフレ圧力を強め、市場のボラティリティを高めることが見込まれます。企業、政府、投資家はいずれも、資本コストが高い局面に入ったことを前提に行動する必要があります。さらに、米国では共和党と民主党のいずれも財政赤字の拡大につながる政策を続けており、西欧の多くの政府にも同様の傾向が見られることが、資本コストの上昇に拍車をかけています。

こうした環境では、金利上昇時の価格下落リスクが大きい長期債の魅力が低下する可能性があります。一方で、企業の収益力や政府の財政運営を綿密に分析し、高い資本コストにも対応できる投資先を見極めることが、新たな投資機会につながると考えます。

重要な情報

人工知能(AI)に注力する企業、AI技術を開発または活用する企業:製品の陳腐化が急速に進むリスク、激しい競争、ならびに規制当局による監視強化に直面する可能性があります。これらの企業は、知的財産への依存度が高く、研究開発への多額の投資を行っており、消費者需要の維持および拡大に左右される傾向があります。これらの企業の証券は、より確立された技術を提供する企業と比べて価格変動が大きくなる可能性があり、また、事業運営におけるAIの利用に起因する法的責任やレピュテーション(評判)リスクなどの影響を受ける場合があります。

テクノロジー関連業種:既存技術の陳腐化、短い製品ライフサイクル、価格および利益率の低下、新規参入企業との競争、ならびに一般的な経済環境の影響を大きく受ける可能性があります。特定の業種に集中した投資は、分散された投資や市場全体と比べて、価格変動が大きくなる可能性があります。

S&P 500 ®指数は、米国の大型株のパフォーマンスを反映し、米国株式市場全体のパフォーマンスを表します。

ボラティリティ とは、特定の投資におけるリターンの分散を用いてリスクを測定する指標です。

ご留意事項

 

本資料は、機関投資家の社内利用のための情報提供を目的として、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン株式会社(以下「当社」といいます。)が、当社の関係会社(本資料において「ジャナス・ヘンダーソン」又は「ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ」といいます。)が作成した資料を和訳・編集したものであり、金融商品取引契約の締結の勧誘や特定の金融商品等の勧誘を目的とするものではありません。本資料は投資助言を意図するもの又は有価証券の売買の勧誘又は推奨を行うものでもありません。

 

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