
第2四半期の株式市場は、3月の大幅な調整から持ち直して上昇し、世界株式指数は2020年以来最も上昇しました。堅調な企業業績と底堅い経済成長に加え、地政学的な不透明感の後退と、それに伴う原油価格の下落が投資家のリスク選好を下支えしました。また、人工知能(AI)向け設備投資拡大への期待も再燃しました。その一方で、AIによるビジネス変革に対する懸念は、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)から金融サービスに至るまで、幅広い分野で根強く残りました。
こうした環境下、リサーチ・チームはイノベーションの恩恵を受ける企業と、イノベーションによって打撃を受ける企業の見極めに注力しています。今後も、市場で交錯する追い風と逆風の変化と、それが企業に与える影響を注視していきます。
(注)本資料におけるセクター別の市場パフォーマンスに関する記載は、MSCI オール・カントリー・ワールド指数および同指数のセクター分類に基づくものです。一方、各セクターの振り返りおよび今後の⾒通しに関するコメントは、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ独自のセクター分類に基づいており、同指数のセクター分類と完全に一致するものではありません。
2026年第2四半期の世界株式パフォーマンス(トータルリターン)
AI向け設備投資拡大への期待が再燃する中テクノロジー・セクターが急伸したほか、資本財・サービス・セクターや金融セクターが堅調でした。一方、原油価格の下落を受けてエネルギー・セクターは下落しました。

出所:ブルームバーグ 期間:2026年3月31日~2026年6月30日 本データは、MSCI ACWI Indexおよびその11セクターのリターンに基づきます。同指数は、先進国23カ国および新興国24カ国の大型株および中型株で構成されています。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。
コミュニケーション・サービス・セクター
AIがコミュニケーション・サービスの事業環境を再構築
振り返り:コミュニケーション・サービス・セクターは、複数の銘柄で企業固有の要因が重しとなり、市場全体を下回るパフォーマンスとなりました。ネットフリックスは、利用者の視聴時間や利用頻度を高めるための施策に伴うコスト増の可能性に投資家がより慎重になったことから、株価が下落しました。Tモバイルは、契約者数の伸び悩みや解約、携帯電話料金の価格競争への懸念から、株価が下落しました。一方で、グーグルの親会社であるアルファベットは、AIの台頭が同社の検索事業を脅かすとの懸念が和らぎ、投資家の関心が同社で拡大するAI関連ビジネスの成長性へ向かったことから、株価が上昇しました。
今後の見通し:コミュニケーション・サービス関連企業、とりわけAIを革新的な形で取り込み、競争優位性や収益力の強化を図る企業の長期的な見通しに、前向きな見方をしています。AIが秘める可能性は、多くの投資家が想定しているよりもはるかに広範に浸透し、高い付加価値を生み出すと考えています。
消費関連セクター
消費関連企業に広がる成長機会
振り返り:第2四半期、消費関連株は総じて上昇したものの、セクター全体としては市場全体を下回るパフォーマンスとなりました。イラン情勢を巡る不透明感や原油価格の変動が投資家心理の重しとなり、バリュエーションが圧縮されたことが背景にあります。もっとも、こうした慎重姿勢は過度なものであると見ています。ガソリン価格が上昇した中、消費支出は底堅く推移しました。一部の消費者層に弱さが見られるものの、米国の家計の多くは過去の水準と比較しても引き続き健全な状態にあります。ただし、支出余力があることが必ずしも実際の消費意欲につながるわけではないことから、引き続き消費者信頼感と支出動向を注視していきます。
今後の見通し:底堅い消費支出は、消費関連企業の収益成長見通しを下支えすると見ています。特に、ホルムズ海峡の通行再開がエネルギー価格の低下につながれば、その傾向は一段と強まると考えます。また、米国の中間選挙を前に景気刺激策が実施されれば、消費者にとって追い風となる可能性もあります。これらを踏まえ、景気の影響を受けやすい企業と景気に左右されにくい企業のバランスを重視しています。デジタル化やAI活用の拡大といった、長期的な構造的トレンドの恩恵を受けやすいと考える企業に投資機会を見出しています。
エネルギー・公益事業セクター
構造的テーマが引き続き追い風
振り返り:エネルギー・セクターでは、2026年上半期を通じてボラティリティが大きく高まりました。第1四半期は、中東紛争に関連した原油生産の混乱に対する懸念から原油価格が1バレルあたり100ドルを超えて上昇し、エネルギー関連株が総じて市場全体をアウトパフォームしました。第2四半期に入ると、地政学的な緊張の緩和とともに供給面における混乱長期化への警戒が後退し、状況は一変しました。原油価格は直前の高値から下落し、エネルギー関連株は総じて市場を下回るパフォーマンスとなりました。商品価格の変動はあるものの、エネルギー関連株のファンダメンタルズは引き続き良好であると考えています。特に、石油・ガスなど従来型のエネルギー企業が、引き続き潤沢なフリー・キャッシュ・フローを生み出しつつ、株主還元を継続している点は前向きに評価しています。
公益事業セクターでは、第2四半期、AIやデータセンターのエネルギー需要の急増を背景に、電力需要が加速しました。電力需要に対する投資家の認識が高まったことで、公益事業のほか、電力インフラ全体を支えるより広範なサプライチェーン(新規発電能力、送電インフラ、送配電網の増強に関連する企業など)への投資が拡大しました。
今後の見通し:エネルギー関連株は、企業のキャッシュ創出力に対して妥当な株価水準にあり、商品価格が安定的に推移し、株主還元策が継続すれば、さらなる上値余地があると見ています。一方で、世界の経済成長が減速したり、中東からの原油供給が想定より早く正常化したりすれば、エネルギー価格が下落する可能性があります。こうした理由から、ディフェンシブなアプローチを重視しています。長期にわたり安定して収益を生む優良な資産を持ちながら、市場で過小評価されていると考えるエネルギー企業に注目しています。
公益事業セクターでは、電力需要の拡大は、循環的というよりも、ますます構造的な性格を強めていると見ています。データセンターやAI関連の処理需要が拡大するにつれて、需要は増加しています。また、数十年にわたり比較的横ばいで推移してきた電力消費も加速しています。その一方で、電力業界が発電能力を速やかに増やすことは容易ではありません。こうした需給の力学は、電力エコシステム全体に関わる企業への投資妙味を一段と高めていると考えます。
金融セクター
循環的成長と構造的成長の両面で機会を捉える
振り返り:第2四半期、堅調な業績成長、活発な資本市場取引、地政学・経済面における不透明感の後退に支えられ、金融セクターは上昇しました。金融各社が安定した消費支出動向と、総じて良好な個人・企業向けの返済状況(信用指標)を報告したことも、投資家の安心材料となりました。AI技術への投資も経済活動や資本市場取引を牽引する要因の一つとなっており、AIがもたらす機会とリスクに対する市場の見方は引き続き変化しています。
今後の見通し:世界の金融サービス関連企業には、リサーチ・チームの徹底したファンダメンタル分析を生かせる投資機会が数多く存在しています。資本市場取引の活発化や世界的な富の拡大といった構造的成長トレンドに、引き続き期待しています。AIの導入拡大は、金融ビジネスモデルにとって機会とリスクの両面を併せ持つため、私たちは調査と対話を通じて、勝者となり得る企業を見極め、リスクの高い企業を回避することに注力しています。また、規制環境の改善や業界再編の恩恵が期待される一部の欧州銀行についても前向きな見方を維持しています。多くの主要市場で金利が依然としてゼロを大きく上回っている点も、金融セクターの収益を下支えする要因になると考えています。
ヘルスケア
イノベーションが引き続きヘルスケア・セクターの原動力
振り返り:ヘルスケア・セクターは第2四半期に上昇しました。その大半は、投資家がテクノロジーやAI関連株からの分散を志向した6月に集中しました。複数の前向きな材料が医薬品やバイオテクノロジー関連株を下支えし、幅広い銘柄が上昇しました。米食品医薬品局(FDA)では、長官不在の中でも審査・承認業務は活発に行われ、幅広い治療領域で承認が相次ぎました。FDAは新薬の開発・承認までの期間短縮を目指す改訂ガイダンスを公表したことから、一部の後期段階にある新薬開発に柔軟性が高まるほか、初期段階にある開発の効率化にもつながる可能性があります。また、大手製薬企業が成長性の高い治療分野へ資金投入を続ける中、M&A(企業の合併・買収)も引き続き活発でした。潤沢な資金を持つ製薬企業は、製品パイプラインの強化と将来の特許切れの影響を補うため、企業買収の動きを一段と活発化させています。
今後の見通し:過去平均や、市場全体を表すS&P500指数と比較して、ヘルスケア関連株は依然として割安な水準で取引されており、アクティブな銘柄選択に好ましい環境となっています。ヘルスケア・セクターではイノベーションが引き続き進展しており、長期的な観点から魅力的な投資機会があると見ています。当面は臨床データの公表や規制上の節目が着実なペースで続くと見ており、がん、心血管疾患、神経疾患、希少疾患などの治療分野に大きな投資機会があると考えています。
引き続き、差別化された製品、良好な臨床データ、持続的な競争優位性を備えた企業の発掘に注力しています。加えて、商業化初期段階にある画期的な製品を有する企業や、新薬臨床試験の成否を巡る不確実性が比較的低い、後期開発段階にある企業にも投資妙味があると見ています。
資本財・サービス・セクター
短期的な不透明感がある中でも資本財関連企業には投資機会
振り返り:資本財・サービス・セクターは、第2四半期に堅調なパフォーマンスを示し、市場全体とほぼ同程度となりました。企業景況感の改善に加え、中東紛争の長期化や原油価格急騰への懸念が後退したことが追い風となりました。エネルギー価格が期初の高値から下落したことで、多くの資本財・サービス関連企業で不透明感が和らぎました。期末にかけては、投資家の関心が地政学リスクや商品価格から、金利上昇局面が経済活動や産業需要に及ぼし得る影響へと移りました。
今後の見通し:当セクターは引き続き底堅く推移すると見ています。米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、景気拡大の分岐点となる重要な50を上回る水準を維持し、年初来続いてきた改善が一段と進みました。こうした改善は、産業活動の緩やかな回復に対する期待を下支えしています。短期的な不透明感は残るものの、地政学的な緊張の緩和とエネルギー市場の安定的な回復が、資本財・サービス関連企業にとって好ましい環境をもたらすとして、前向きに見ています。一方で、金利、商品価格、関税、貨物輸送需要、消費者・企業信頼感、米国の中間選挙、今後予定されるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の共同見直し交渉といった不透明要因に留意しています。
引き続き、商用航空や電動化、さらにはAI関連の電力需要やデータセンター投資といった、力強い構造的テーマの恩恵を受ける企業を重視しています。また、優秀な経営陣のもと業務改善に取り組む企業や、安定した利益成長を牽引する独自の収益ドライバーを持つ企業にも注目しています。一部の分野ではバリュエーションが割高になってきているものの、それを上回る長期的な成長見通し、力強い収益機会、そして利益率の大幅な改善余地があると見ています。
テクノロジー
AIは産業や経済全体を変革する可能性を秘めている
振り返り:テクノロジー・セクターは、第2四半期に最も高いパフォーマンスを示しました。AIエコシステム全般にわたる好調な企業業績を受けて、AIインフラの投資サイクルが依然として持続しているとの見方が高まりました。AI関連需要は引き続き堅調である一方、先端プロセッサー、メモリ半導体、アクセラレーター(AI処理用の専用半導体)、光ネットワーク機器といった重要部材の供給不足は根強く続いています。AIの活用が各産業に広がるにつれ、AIを支える技術への需要は供給を上回るペースで拡大し続けると考えています。こうした構造的な供給制約に対する投資家の認識が高まったことを背景に、半導体製造装置企業の株価は上昇しました。対照的に、ソフトウェア関連株は、AI主導のビジネス変革の可能性を投資家が見極める中、総じて出遅れました。
今後の見通し:AIは今後10年にわたって展開される、世代を超えた成長機会であると考えています。企業はAIインフラとその活用能力への投資に引き続き注力しており、その支出が減速する理由はほとんど見当たりません。供給の制約も重要です。AIのアプリケーションや部材への需要が急速に拡大する一方、供給の拡大には多大な時間と資本を要します。こうした供給の制約は数年にわたって続く可能性が高く、重要な技術・部材・装置の供給企業にとって有利な環境を生み出すと考えています。
また、現在進行しているAI関連の設備投資サイクルも注視しています。市場は、AIインフラ増強の恩恵を受ける供給サイドの企業を評価してきました。その一方で、自ら多額の投資を行う企業に対しては、必ずしも好意的ではありませんでした。リサーチ・チームでは、これらの投資の多くは正当なものであり、時間の経過とともに魅力的なリターンを生み出す可能性があると考えています。
長期的にAIの恩恵を受ける企業の発掘に引き続き注力しつつ、ビジネス変革によってリスクが高まる可能性のある企業の回避に努めています。また、重要な部材・素材の供給企業には、引き続き投資機会を見出しています。ソフトウェア関連銘柄については、AIを活用して事業の成長を加速させ、あるいは利益率を拡大させている企業に的を絞った、選別的なアプローチを行っています。
重要な情報
人工知能(AI)に注力する企業、AI技術を開発または活用する企業:製品の陳腐化が急速に進むリスク、激しい競争、ならびに規制当局による監視強化に直面する可能性があります。これらの企業は、知的財産への依存度が高く、研究開発への多額の投資を行っており、消費者需要の維持および拡大に左右される傾向があります。これらの企業の証券は、より確立された技術を提供する企業と比べて価格変動が大きくなる可能性があり、また、事業運営におけるAIの利用に起因する法的責任やレピュテーション(評判)リスクなどの影響を受ける場合があります。
一般消費財・サービス関連業種: 経済全体の動向、金利、競争環境、消費者信頼感や支出動向、ならびに人口動態や消費者の嗜好の変化などから大きな影響を受ける可能性があります。
生活必需品関連業種: 人口動態や製品トレンド、価格競争、食品トレンド、マーケティング施策、環境要因、政府規制に加え、経済全体の状況、金利、消費者信頼感などの影響を大きく受ける可能性があります。
エネルギー関連業種: エネルギー価格の変動、燃料の需給動向、省エネルギーの進展、探鉱プロジェクトの成否、ならびに税制やその他の政府規制の影響を大きく受ける可能性があります。
金融関連業種: 広範な政府規制の対象となっており、サービス分野間の境界が不明確になる中で比較的急速な変化にさらされる可能性があります。また、資本の調達可能性や調達コスト、金利の変動、企業および個人の債務不履行率の推移、価格競争などの影響を大きく受ける可能性があります。
ヘルスケア関連業種:政府規制や診療報酬制度、ならびに製品・サービスに対する政府承認の影響を受け、これらは価格や供給に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、技術や製品の急速な陳腐化や特許期限の到来による影響を受ける場合もあります。
テクノロジー関連業種: 既存技術の陳腐化、短い製品ライフサイクル、価格および利益率の低下、新規参入企業との競争、ならびに一般的な経済環境の影響を大きく受ける可能性があります。特定の業種に集中した投資は、分散された投資や市場全体と比べて、価格変動が大きくなる可能性があります。
金融政策とは、経済におけるインフレ率および成長率の水準に影響を与えることを目的として中央銀行が行う政策を指します。これには、金利およびマネーサプライの調整が含まれます。
Purchasing Managers’ Index(PMI:購買担当者景気指数)とは、民間企業を対象とした調査に基づき、製造業およびサービス業における景気動向の方向性を示す指数です。
S&P 500 ®指数は、米国の大型株のパフォーマンスを反映し、米国株式市場全体のパフォーマンスを表します。
ボラティリティ とは、特定の投資におけるリターンの分散を用いてリスクを測定する指標です。
ご留意事項
本資料は、機関投資家の社内利用のための情報提供を目的として、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン株式会社(以下「当社」といいます。)が、当社の関係会社(本資料において「ジャナス・ヘンダーソン」又は「ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ」といいます。)が作成した資料を和訳・編集したものであり、金融商品取引契約の締結の勧誘や特定の金融商品等の勧誘を目的とするものではありません。本資料は投資助言を意図するもの又は有価証券の売買の勧誘又は推奨を行うものでもありません。
本資料に記載された見解は、ジャナス・ヘンダーソンの運用チームによるものであり、必ずしも全てのチームの見解が同一であるとは限らず、ジャナス・ヘンダーソンが提供する運用戦略やポートフォリオに反映しているものでもありません。市場環境やその他の当資料中の情報は示された日付現在のものです。いかなる分析、意見、試算又は予測も将来の動向や予測の実現を保証するものではなく、予告なくこれを変更することがあります。
当社及びジャナス・ヘンダーソンは、本資料の一部又は全部の第三者への違法な配布、あるいは本資料を基に作成された情報に対する責任を負うものではありません。また、提供された情報の正確性、完全性、適時性について保証するものではなく、これを使用したことによる結果について何ら保証するものではありません。全ての投資と同様、固有のリスクがあることにご留意ください。
